桐野さおり(きりのさおり)先生の描く漫画「アゼン!!今どきのバカ女~ニートじゃないもん!!~」のネタバレを紹介しています!
自分勝手すぎる女の、就職にまつわる顛末が描かれえています。
果たして彼女の運命はいかに…!?
ニートじゃないもん あらすじ
「働く意欲はあるからニートじゃない!」
「自分にふさわしい職場がないだけ!」
主人公の稲本夏美(32歳)は、そう言いながら無職生活を続けていました。
実際、以前は就職も経験してきたし、今でも、いい職場があればすぐにでも入りたいと思っていました。
では、なぜ今は働いていない無職生活なのか…。
それは、彼女の「自信過剰で傍若無人」な性格が災いしていたからです。
しかも、夏美はそんな自分の性格に対して、全くの無自覚。
この漫画では、そんな夏美の自分勝手すぎる生き方の、末路が描かれて行くのです…!!
ニートじゃないもん ネタバレ
現在、夏美は32歳の無職です。
2年ほど前は、就職していましたが、すぐにやめてしまうのです。
そのたびに、転職を繰り返し、現在に至ります。
なぜ、仕事をやめてしまうのかというと、その理由は1つ。
「自分の能力を活かせる仕事じゃないから」
…というのも、夏美は「自分には能力がある」と確信してるのです。
それなのに、会社ではコピーやお茶出しなどの雑用ばかりで、理想とはかけ離れています。
その為夏美は、「もっと私の能力を生かせる職場で働きたい!」などと考え、転職を繰り返しているというわけです。
しかし、そんな夏美の仕事は、結局どこに行っても「雑用」ばかりでした。
自意識過剰すぎる女
ところで、夏美は本当に能力があるのでしょうか?
いいえ、そんなことはありません。
例えば、夏美は自分のとって理想の会社に働いた経験もあります。
しかし、働けたのは試用期間内だけであり、本採用はされなかったのです。
その事から、夏美の能力など、高が知れているといえます。
にもかかわらず、夏美は「ホント世の中って上手く行かないわ!」という一言で片づけてしまうのです。
さらに言えば、夏美は雑用を任される事を、「イジメ」と勘違いしていました。
そして決まってこう思います。
「私が仕事のできる女で、しかも美人だから、みんな嫉妬しているのね…」
「だからって、こんなイジメってないわ!!」
つまり、夏美が雑用を任されるのは、すべてが「社員による意地悪」や「嫌な上司」のせいだと思い込んでいるのです。
このように、夏美は自分の能力を買いかぶり、「上手く行かない事は、すべて他人のせいにする」という、身勝手なわがまま女なのです…。
なので、現在無職というわけですが、一応ハロワにも行くし、求人情報誌も欠かさずチェックします。
そんな時、求人情報誌を読んでいた夏美は、ようやく自分に合った仕事を見つけます。
その会社は広告代理店で、「テレビCMの製作」が業務でした。
テレビ関係という仕事なら、まさに夏美にとってふさわしい!
さらに、「プレゼン」や「芸能人と挨拶」といった華やかな業務内容を思い描き、夏美は夢(妄想)をどんどん膨らませていきます。
そして、夏美はさっそくCM会社へと電話をかけ、面接のアポを取ります。
こうして、夏美は「入社間違いなしね!」と確信し、パラパラと情報誌をめくっていきます。
その時、夏美はふと「あるワード」を目にしたのです…。
ニートじゃないもん、レイブルだもん!
夏美が目に留まったのは、「レイブル」という言葉でした。
レイブルとは、「レイトブルーマー(遅咲き)」の略です。
働く意思がある無職者を、ニートと区別するために作られた言葉が「レイブル」というわけです。
夏美はそれを見て「まさに私はレイブルなんだ!」と、強い衝撃を受けます。
こうしてニートや無職にとって代わり、自らを「レイブル」として定義した夏美。
しかし、夏美は「ま、私はここに就職するからレイブルでもなくなるんだけどね」などと余裕をかまします。
ところが、いざその会社に向かうと、夏美は早くもテンションが下がりました。
そこは、雑居ビルに間借りしている小さな会社だったので、夏美にとっては期待外れだったのです。
面接の際も、思ったような仕事ではなさそうだったので、ガッカリでした。
「CM製作」と聞いたのに、業務内容も「営業」などという地味な業務で、夏美は願い下げです。
また、その時、集団面接で、他の女性2人もいましたが、夏美と同じようにガッカリしました。
その2人の女性は20代で、夏美のように「自分にふさわしい仕事」を求めていました。
そして、集団面接が終わると、夏美たちは愚痴をこぼし合います。
そんな流れで「ちょっと3人でお茶でもしませんか?」という提案があり、喫茶店に向かう事になったのでした…!
レイブル仲間登場!
それから喫茶店にやってきた3人は、それぞれ自己紹介を始めていきます。
1人目の女性は梨香と名乗り、年齢は24歳でした。
梨香は、元々新卒で内定をもらっていましましたが、会社の業績悪化により、内定切りされてしまったそうです。
2人目の女性の名前は亮子といい、年齢は29歳です。
亮子は今までやりたいことが見つからず、「自分探しの旅」を続けているそうです。
ちなみに2人とも、バイトで生計を立てて暮らしているそうです。
彼女たちは、夏美と同じく「理想の仕事探しを一生懸命やっているからニートじゃない!」と言い張りました。
それから3人で、世の中に対する愚痴を言い始めました。
「景気が悪いせいで給料が安すぎ!」
「前の世代がバブルで浮かれていたから、こんなことになったのよ」
このように、原因を全て他人のせいにする彼女たちはまさに、夏美と同類でした。
夏美もそう思ったようで「それぞれ境遇は違うけど、同じレイブルよ…!!」と仲間意識(悪い意味で)が芽生えていきます。
こうして、3人はすっかり意気投合し「レイブル仲間」となりました。
その日はメアドを交換して解散しましたが、その後もたびたび集まるようになりました。
そのたびに、居酒屋で「情報交換」と題した「愚痴のこぼし合い」が行われて行きます。
この3人は、やはり「自分への過信」が強く、「実力を発揮させてくれる会社」に固執していました。
もちろん、ニートではないので、口だけではなく、働く気は十分にあり、就活は真面目にやっていました。
特に夏美は、「お母さんを安心させるためにも」という一面もあるため、面接に出向きます。
その面接先は、小さな会社だったので、気乗りはしなかった夏美ですが、面接にはすぐに合格出来ました。
なので、あっけなく就職を決めてしまうのでした。
夏美はその事をレイブル仲間に報告すると「おめでとう!」とか「先を越されて、焦っちゃう」という言葉をもらいます。
ところが、夏美が働き始めてから10日後…。
再び夏美のわがままがさく裂するのです…。
変わらない性格
夏美はいつものように、お茶くみを頼まれます。
夏美は一応「はい」と返事はしますが、心の中では「またお茶くみ…!?」と、イライラを募らせていきます。
しかも、若い女性社員はたくさんいるので、「なんで私ばっかり…」という不満もありました。
そこで夏美は、給湯室でお喋りをする女子社員を見つけ「暇なんだったらお茶運ぶの手伝ってくれない!?」と注意します。
ところが女子たちは「え、私たちこれから会議なんですけど…」と言います。
しかも、ただの会議ではなく、彼女たちによる「プレゼン」も行われるようでした。
それを聞いた夏美は愕然とします。
「(プレゼン…!?こんな大学出てまだ数年の女子社員が…!?)」
それに引き換え、夏美に与えられた仕事は、誰でもできる雑用…。
今日は発注伝票を元に、商品の梱包を依頼れました。
そして、夏美は、段ボールに荷物を積めつつ、泣きながら思います。
「この私に、運送屋みたいなマネをさせるなんて…」
「ひどいっ…なんてひどい会社なの!?」
こうして、プライドをずたずたにされた夏美は、またしても会社を辞めました。
そして、またレイブル仲間と集まり、その経緯を伝えます。
「とにかくバカらしくて勤めてられない!」
「ちょっと計算ミスしただけで、すごく叱るのよ!」
「たった一桁数字間違えただけなのに!」
夏美は、そうして叱られたことを「ひどいイジメを受けた」と喚きます。
さて、そんな夏美の様子を見たレイブル仲間は、「あ…っ(察し)」と、何かがおかしい事に気が付きました。
しかし、なおも夏美は「”お局”の私が目障りで早く辞めさせたいんでしょ」と愚痴が止まりません。
その時、レイブル仲間が「お局」を誤用している事を指摘すると、「じゃあ美人の私への嫉妬かしらね!」と言いきり、もう手が付けられませんでした。
こうして、仲間内で少しずつ距離感が生まれ、物語は1年が経過していきます…。
ニートじゃないもん 結末
1年たった今でも、相変わらずレイブル仲間は集まっていました。
少し変わったのは、夏美以外の2人が就職に危機感を持ち始めていたことです。
主な理由は、親たちからのプレッシャーでした。
そのため、以前よりも就活に対し勤しむようになっていきます。
その甲斐あってか、2人は何とか就職を決めることが出来ました。
ただ、2人とも妥協はあったようで、「興味のない仕事」であったり「給料も安い」という悪条件だったりします。
それでも「今度ばかりはちょっと頑張ってみようかと思うの」と、決意を新たにするのです。
しかし、夏美はそんな2人の話を聞いて思いました。
「(ふん、そんなこと言って…)」
「どうせ1か月ももたないわよ…」
「(私のように10日でやめるのがオチだわ)」
ところが。
そんな夏美の意に反して、2人の言葉はどうやら本当のようでした。
それから半年たった現在も、2人は順調に仕事をこなしていたのです。
確かに、最初は興味が無かったり、仕事でのミスもありました。
しかし、続けているうちにやりがいを感じたり、前向きに取り組むようになっていったのです。
でも、夏美と同類だった彼女たちが、どうしてここまで変われてたのか…!?
その理由は2つありました。
1つは親たちのプレッシャーが大きかったこと。
そして、もう1つは夏美のおかげだったのです。
つまり、夏美の傍若無人っぷりが反面教師になって、2人の目を覚まさせたのです。
そして、そんな2人は忙しい今でもたまに会う仲でした。
もちろん、そこには夏美の姿はありませんでした。
夏美は未だに定職に就かず、いつまでたっても変われずにいるのです。
しかし、夏美は未だに「仲間」だと思っているので、2人に連絡をよこしてきます。
もう2人とは住む世界も違い、夏美は1人取り残されている事に、気づいていないのです。
なので、2人はそんな夏美を「レイブルさん」と呼び、相変わらず「反面教師」として付き合ってあげているのでした。
「たまにレイブルさんの話を聞くと、初心に戻れるし」
「甘い考えじゃ、社会人になれないってことも改めて痛感するし…」
「それにしてもレイブルさん、いつまでレイブルやる気かしらね?」
そして最後にこう締めくくられてこの漫画は終わります。
「レイブルなんて都合のいい言葉…」
「結局ニートと変わらないんじゃない…ねえ?」
ニートじゃないもん 感想
~ニートじゃないもん の感想~
「レイブル」という言葉を盾に、「ニート」であることを正当化して、プライドを護るという、人間の弱い心が巧みに描かれていると思います。
また、職業をえり好みする無職の人へ、警鐘を鳴らす内容だったともいえます。
なんとなくリアリティもあるし、就職する気があるのに、就職できない人の心理をついていたのではないかと思います。
「自分にふさわしい仕事他にあるはず!」
「もっと能力を発揮したい!」
と思った事がある人は、割といるのではないでしょうか。
もっとも、そうは思っても、仕事は続けないといけない時もありますよね。
むしろ、そんな簡単にやめられないからこそ、頑張っているわけで…。
そして、頑張りを辞めると、夏美のように置いてけぼりにされてしまうのが現実なんですよね。
というわけで、30ページという短いお話しながら、結構考えさせられる面白い漫画でした!